烏紗帽 1

  • まさみ
  • 2013/02/28 (Thu) 15:57:35
鍾馗さんは、唐の高祖帝の武徳年間に進士の試験に失敗して自殺しますが、帝によって進士として丁寧に葬られます。
今、たくさんある鍾馗の絵や瓦鍾馗では被っている帽子がみんな違っていますね。

では鍾馗さんは一体どんな帽子を被っていたのでしょう?

唐の時代の鍾馗図は残っていませんが、現在、中国に残るもっとも古い宋の龔開の「中山出遊図」の鍾馗さんです。
黒い紗で作られた烏紗帽と思われるものを被っています。

烏紗帽 2

  • まさみ
  • 2013/02/28 (Thu) 16:12:00
鍾馗さんを葬ってあげた唐の高祖李淵の肖像画です。

不思議なことに鍾馗さんと同じような烏紗帽を被っていますね。

もちろん後代に描かれたものですが、皇帝の肖像画なのでちゃんとした時代考証をしているはずですが、ちょっと腑に落ちません。

烏紗帽 3

  • まさみ
  • 2013/02/28 (Thu) 16:18:30
すみません。

李淵が寝ていました。

起こします。

Re: 烏紗帽 1

  • kite
  • 2013/03/01 (Fri) 22:38:54
中国の皇帝というと、もっときらびやかな冠をかぶっているようなイメージがありますが、意外にシンプルな姿ですね。

鍾馗が進士の姿で葬られたとすると、皇帝も臣下も帽子に関しては区別がなかったのでしょうか?

気になって唐の他の皇帝の画像も見てみましたが、皆、同じような地味な烏紗帽をつけていました。
また巾の先っぽは皆、垂れていてこの前のお話の分類では「軟角巾」(で合ってましたっけ?)のように見えました。

引き続き、鍾馗解題をお願いします。

Re: 烏紗帽 1

  • まさみ
  • 2013/03/02 (Sat) 16:19:17
日本では「巾」と「帽」は区別がありますね。

巾は布をまいたようなもので、「快傑黒頭巾」の感じです。
帽は「学生帽」みたいに形ができていて被るものを言いますが、中国でもそうだとすると、軟角巾というのは布を頭にまくもので、まず、髷の上にお椀のようなもの(巾子)を乗せて、その上から布を被り前の二つの角を後ろに回して結び、次に後ろの二つの角を前に回して頭上にあげ、巾子の前で結びます。

言葉で説明するのは難しいので、室町期の狩野祥啓筆の鍾馗さんを見てください。

ほとんどの鍾馗図は巾か帽かが分かりにくいのですが、これははっきりと布をまいているように描いています。

尚、後ろに跳ね上がっている角(脚)は軟角なのか、針金が入っている硬角なのかよく分かりません。

Re: 烏紗帽 1

  • まさみ
  • 2013/03/02 (Sat) 16:22:22
図がうまくゆきませんでした。

Re: 烏紗帽 1

  • kite
  • 2013/03/04 (Mon) 21:24:00
どこかで鍾馗は「進士巾」をつけているという記述を見たことがありますが、「巾」なら帽子ではなく、髷を覆うように巻いていたことになりますね。

先日のお話では鍾馗の時代、初唐にはまだ巾が使われていて、後の時代に毎日巾を巻くのが面倒だからと「烏紗帽」のような帽子が作られて手間が省かれたととのこと。
そうすると時代的には鍾馗がかぶるのは「巾」が正しい、ということになると理解しましたが、よかったでしょうか?

最近とみに自分の記憶力に自信がないので・・
間違っていたら修正お願いします。

Re: 烏紗帽 1

  • まさみ
  • 2013/03/05 (Tue) 21:10:15
烏紗帽というのは、黒い紗で作った帽子という意味で、官吏が被る帽子だと思っていましたが、ネット検索で隋、唐よりはるか以前からあり民間人も被っていたとありました。ショック!(僕の漢文の理解力によると、ですが・・・)
隋や唐の時には皇帝も官吏も被っていましたが、形や装飾で等級があったようです。

また、旧唐書「輿服志」によると、高祖武徳年間に(平頭小様巾)というのが流行ったとあり、これはおそらく軟角巾だろうと思うので、つまり烏紗帽も軟角巾も同時に存在したことになります。

時代はくだりますが、「明の洪武年間に既に状元及び進士に均しく烏紗帽を賜るという規定があった。状元及び進士は官員に準ずる者だが、まだ官職を授かっていないため烏紗帽は黒い色ではなかった。正確に言えば烏紗帽ではなく(進士巾)というべきだろう。」

という記述があったり、明の朱国禎選「湧幢小品」には「俗画鍾馗戴軟角巾、便有開元進士之説」とあり、明代の鍾馗の絵は軟角巾を被っていると書いてあったりで、中国人もちょっと混乱していますが、僕は鍾馗は軟角巾を被っていた、と思っております。

烏紗帽も時代とともに形が変わっており、これは北宋の太宗の烏紗帽です、

Re: 烏紗帽 1

  • おとん
  • 2013/03/10 (Sun) 18:27:13
鍾馗さんに取り憑かれて3年以上になるのに、
烏紗帽を知らずに過ごしてきたことを思うと恥ずかしくなりました。
まさに“汗顔の至り”という言葉がぴったりです。
(投稿前に、内容をプレビューして確認できます)